
会津の郷土料理
食文化も独特のものがあり、 海産物に関しては海のない内陸の地で、貴重な水産資源を美味しく食するための技(わざ)が受け継がれてきました。

鰊(にしん)
海から遠い会津地方は、北海道でとれた生の鰊を干した『身欠きにしん』が一般的に『鰊(にしん)』と呼ばれています。他所から来た人達は、会津の家庭料理を食べて、鰊の食卓に上る回数の多さに驚きます。煮物や焼き物、揚げ物、刻んで生や、麴漬など、にしん料理のバリエーションはたくさんあります。
その中でも長い冬が終わり、新緑が芽吹く春、少し大きくなった山椒の葉と、身欠きにしんを一緒に、醬油、酢、酒、味醂などの調味料で漬け込んだ『にしんの山椒漬』は若い世代にも喜ばれるにしん料理のひとつです。会津ではそれぞれの家で作っていますが、味付けは各家庭により違いがあり、色々な味があります。鰊は春告げ魚とも呼ばれ会津の田植え風景に似合う春の料理で、今は山椒を冷凍保存、一年中作ることができます。

鱈(たら)
タラを1尾のまま天日乾燥すると、棒の様に硬い干物になることから棒タラと呼ばれており助棒タラと、本棒タラがあります。助棒タラは助宗鱈、本棒タラは真鱈を干したもので、そのままだと助棒タラは50cm位、本棒タラは90cm位の大きさですが、これでは調理できないので小さくカットして使います。それを柔らかくなるまで水を替えながら水戻しして、(一昼夜から一週間、季節やサイズ違いで)コトコトと弱火で柔らかくなるまで煮くずれに注意しながら煮て、酒、砂糖、醬油、味醂を加えて、煮上がったら一度冷まして味をしみ込ませ、食べるときに再度温めてしっかりした味付けに仕上げます。会津ではお正月やお祭り、祝いの席などに食べるご馳走料理です。

こづゆ
会津では喜びの日も悲しみの日も頂く料理です。
里芋、人参、干椎茸、干きくらげ、糸コン、豆麩、乾燥ホタテの貝柱などが入った、海の香りと山里の香りの具沢山のつゆ料理で、会漆塗りのお平椀に盛りつけ頂きます。
会津を離れた人には懐かしい故郷を思い出す味と香りなのではないでしょうか。

鯨(くじら)
会津初夏の味。塩くじらの(くじらを覆う厚さ4~6㎝の脂肪層の塩漬け)塩を洗い流し薄く切り、新じゃが芋、新たまねぎと味噌汁にします。夏の暑さに向かう前のスタミナ味噌汁?